墨象(1)
墨象とは・・・
墨象(ぼくしょう)は、前衛書道から発展し書道の概念・領域を超えた芸術分野のことで、墨の造形美を追究する芸術である。
運動の先駆者には主に大沢雅休、上田桑鳩や宇野雪村、比田井南谷などが挙げられるが、その後、書道分野で急速に発展し、現在では篠田桃紅など書壇を超えた芸術家を輩出し、独特な理念を基に書道の枠を超えた芸術分野の一つにまで成長した。墨を垂らしたり飛び散らしたりする行動は、アクション・ペインティング(Action painting)、ジェスチュラル・ペインティング(gestural abstraction)などの抽象絵画アーティストへの影響力も大きい・・・
書道とは
Wikipediaによれば、書(しょ)とは、書くことで文字の美しさを表そうとする東洋の造形芸術である。カリグラフィーの一種。中国が起源であるが、日本語圏においては漢字から派生した仮名、朝鮮語圏ではハングル、ベトナム語圏では同じく漢字から派生したチュノムやローマンアルファベットを使用するクォック・グーなどで創作活動が行われている。2009年に中国の書道が、ユネスコの無形文化遺産に登録された・・・(Wikipedia 書道より)
漢字書道は、中国書道として遺産化され、その多様性・拡張性に制限がつくこととなり現在に至る。また日本では2015年に日本書道、仮名文字の無形文化遺産登録に向けた動きが生まれ、2023年12月18日、文化庁が「書道」としてユネスコの無形文化遺産に提案することを決定、2024年3月末までに提案書を提出、2026年の11月に審査され登録を目指している。実現すれば日本書道も遺産として残るが果たして良いことなのだろうか。中国書道と同様の道を歩むことになる可能性が高い。
書道の技法は書法として定義され、筆法、間架結構法、布置章法の3つからなり、それを学ぶ上で硯・筆・紙・墨が最低限必要な用具であり文房四宝と呼ばれる。いわゆる『書道』は文房四宝を使い書法を磨く所作全般であり、その成果物が『書』となる。文化庁で無形文化遺産登録を目指す書道はそれに沿ったものか? 新聞発表では、『筆や墨、すずりなどを使って漢字や仮名を伝統的な筆遣いや技法で手書きする』とあるが…
書からみた墨象
日本の現代書は、仮名書道から漢字かな交じり書、そして墨象と発展してきた。書から見た墨象が一貫して守っているのは、書法と文房四宝、つまり所作ありきの作品であり、現代美術の側から発展した作品重視の墨象とは若干ニュアンスが異なる。したがって書に携わる者が墨象表現する場合は、この見極めが重要となってくると考える。墨象が今後どのような形に進化していくかは自由であり、そこに制限を加える理由はない。しかし書法と文房四宝そして所作を前提とした発展には期待したい。そして「墨象」の進化が落ち着いたとき、「墨象」を本来の意味の書道としてユネスコの無形文化遺産として登録できれば嬉しい。
[Jim Benton] |
[Jackson Pollock] |
[Franz Klin] |
[Willem de Kooning] |
[篠原有司男] |
[篠原有司男] |
墨会議発足
墨サロンは、知識、歴史、未来を語らう場なら、
墨会議は、それらを使って何かを為す場
長く一緒に書道を学んできた方々と、
これからは、書の技と智を使って何かを創造していきます。
これが墨会議!!
仕事の場ではありません。あくまでも学び学びの場。
ここにはとことんこだわりたい。